不動産投資に興味がある人の中には、以下のような疑問・不安を持つ人もいるのではないでしょうか。
- 資産運用に興味があるけど、成功しやすい投資はどれなのか知りたい
- 不動産投資に興味があるけど、失敗したらどうしよう
- 不動産投資の失敗率を下げる対策について知りたい
この記事では、不動産投資と他の投資とで失敗率について比較するほか、不動産投資の失敗率を下げるための対策などについて解説します。
目次
1.他の投資と比較した不動産投資の失敗率
まず、不動産投資・株式投資・投資信託の3種類について、失敗率やパフォーマンスを比較してみます。
1-1.不動産投資
不動産投資の失敗率は約40%で、失敗率を下げるためには、本を読むなどして知識をつけることが必要です。
不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)は、不動産投資家向けにアンケートを実施しています。アンケート結果を見ると、「今までに失敗した経験を持つ投資家」は回答者の40.7%でした。
失敗の内容については「空室が埋まらなかった」という回答が最多です。失敗経験を持つ投資家のうち、約37%が空室による失敗をしたと回答しています。なお、空室以外で割合の多かった失敗内容は以下の通りです。
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- 修繕費や維持管理費が多額にかかってしまった
- 相場よりも高い価格で物件を買ってしまった
- リフォームに費用がかかりすぎた
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アンケートで「失敗したことがない」としている投資家は、失敗を防げた理由として、本を読んで知識をつけた・不動産会社に質問して疑問を解消したなどのポイントを挙げています。
1-2.株式投資
個人の投資家で株式投資に失敗している人の割合について、正確に測定できる指標は発表されていません。しかし、金融庁は、日本国内の投資会社に対して、運用パフォーマンスに関する調査をしています。
国内株式投資について、2020年3月から5年間さかのぼって累積利益を計算した結果、リターンがプラスになっている運用会社は、調査対象のうち57.4%です。
国内株式投資のパフォーマンス | 割合 |
7.0%以上 | 17.02% |
0.1% 〜 6.9% | 40.42% |
-0.1%以下 | 42.55% |
※参照:金融庁
不動産投資においては、表面利回りの目標を7%〜8%に定めて物件選びをしている投資家もたくさんいます。過去5年間の累積運用リターンが7%以上となった会社の割合は17.02%でした。
金融庁の調査によると、半数以上の運用会社がリターンをプラスで推移できています。このため、株式投資は失敗しにくい投資だと感じる人もいるかもしれません。しかし、投資会社は資産運用のプロです。個人による株式投資の成功率は、投資会社の実績より低くなると思われます。
また、株式市場は不動産市場よりも値動きが大きく、知識と経験を持ったプロでも市場動向の予測が難しいものです。長期間の資産運用としては、株式投資はあまり向いていません。
1-3.投資信託
投資信託についても、各金融機関を対象として、金融庁が運用パフォーマンスに関する調査をしています。調査結果によると、2020年3月末時点で運用損益がプラスになっている顧客の割合は30%でした。
以前の調査結果と比較すると、2020年はパフォーマンスが低下している金融機関が増えています。コロナの感染拡大が経済に大きく影響しているためです。2019年に実施された調査では、運用損益がプラスで推移している顧客は66%でした。
※参照:金融庁
金融庁の調査からは、投資信託は、平常時はパフォーマンスに優れるものの、景気動向の影響を受けやすいことがわかります。その一方で、不動産投資は、物件のタイプと立地によって景気動向の影響を抑えられるので、比較的安定性が高いと言えます。
2.不動産投資に失敗しないための目的別物件選び
不動産投資の初心者には、どんな物件を購入すればいいのかわからず悩む人も多いものです。投資先として最適な物件について、投資目的別に解説します。
2-1.年金がわりの家賃収入がほしい
老後も見据えた長期継続的な家賃収入を狙うのであれば、新築物件よりは中古物件の方が妥当です。家賃収入が目的の場合は、とにかく空室期間を短くする必要があります。空室期間中は家賃収入が入らないためです。
中古物件は、売主の運用履歴を確認すれば、実際の賃貸運用状況を確認できます。運用履歴を確認するためには、不動産業者に「この物件のレントロール(=運用履歴)を見たい」と要望すれば大丈夫です。
新築物件の場合は投資運用の実績がないため、本当に入居者が入るかどうかは、物件を購入してみないとわかりません。データに基づいた判断ができないという点で、新築物件はリスクが高いものです。
2-2.節税したい
とにかく節税額を大きくしたいのであれば、築22年以上経過している木造物件が最適です。不動産投資による節税では、「減価償却費」という税務上の費用がカギを握ります。減価償却費を最大化できるのが、築22年以上の木造物件です。
しかし、築古の木造物件は、入居者が入らないリスクをはらんでいます。築浅物件のほうが入居者の人気が高いからです。節税ができても、入居者が入らなければ、赤字が拡大してしまいます。
なお、節税を第一目的として不動産投資をしているのは、一部の富裕層のみです。どちらかというと、節税は不動産投資の副産物程度に考えておくのが良いと言えます。
また、新築のRC造マンションに投資すると、節税目的の不動産投資で失敗する確率が上がります。RC造マンションは、不動産の中でも、1年あたりの減価償却費が少ない部類に入るからです。
「節税もできる」と宣伝して新築物件を販売している不動産業者は多いものです。しかし、2年目以降はほとんど節税できなくなった上、赤字を解消できないという失敗例は数多く聞かれます。
2-3.不労所得でアーリーリタイアしたい
今はサラリーマンをしているけれど、家賃収入を不労所得として、アーリーリタイアしたいと考えている人もいるでしょう。
この場合は、一棟アパートを複数所有することで毎月の家賃収入を大きくするのが理想的です。しかし、サラリーマンがいきなり一棟アパートに投資するのは、資金的にも経験的にもハードルが高いものです。
また、仮にローンを利用してアパートに投資できたとしても、2棟目以降の物件をなかなか購入できずに行き詰まることが予測されます。1棟目に投資した時点で融資枠を使い切る可能性があるからです。
最終的に不労所得で専業大家になるためには、投資を始める前の計画が重要になります。物件の買い替えを繰り返す前提で、ワンルームマンションなど手が届くところから始めるのが適切です。
アーリーリタイアを目指すための不動産投資については、こちらの本でも紹介されていますので、参考にしてみてください。
サラリーマンはラクをしろ!掟破りのhorishin流不動産投資術
3.失敗率を下げて不動産投資に成功するためのコツ
つづいて、不動産投資の失敗率を下げるために有効な対策について解説します。物件選びと空室を見込んだ収支シミュレーションが重要です。
3-1.信頼できる不動産会社を見つける
不動産投資において、最も重要なポイントは物件選びです。成功している不動産投資家の間では「不動産投資は物件選びの時点で勝負が決まっている」とも言われています。
良い物件の情報を得るためには、信頼できる不動産会社を見つけることが重要です。世に出回る物件の情報を最初に掴むのは不動産会社だからです。そして、良い不動産会社とつながりを持つためには、成功している不動産投資家から紹介してもらうのが最も確実な方法と言えます。
紹介を受けた顧客に対して粗悪な物件情報を紹介すると、不動産会社にとっては、紹介元となる投資家の顔に泥を塗ることにもなります。このため、紹介営業でよくない物件の情報が回ってくる確率は低いものです。
成功者から不動産会社を紹介してもらうためには、まず成功者と知り合いになる必要があります。成功者と知り合いになるためには、不動産投資家が主催しているセミナーに参加してみるのがおすすめです。
例えば、本を数冊読んでみて、考え方が合う不動産投資家を何人かピックアップします。ピックアップした投資家が主催しているセミナーや勉強会に参加することで、成功者にコンタクトすることが可能です。
ただし、勉強会の参加などに数十万円単位の費用がかかる場合もあります。高額な参加費を求められた場合は、事前によく考えてから決断することが必要です。
3-2.高めの空室率を想定しておく
健美家が不動産投資家向けに実施したアンケートからは、空室の発生によって失敗した不動産投資家が多数いることがうかがえます。また、これから不動産投資をしたいと考える人の中にも「もし入居者が入らなかったら」と不安に思う人はいるでしょう。
空室の発生で失敗しないためには、物件を選ぶときに、空室率を高めに想定しても利益が出るか、あらかじめ検証することが有効です。
事前のシミュレーションで、空室率を10%前後に想定しているケースは多いものです。慣例的に入居者と2年の賃貸借契約を結ぶことが多く、空室が発生すると、平均的に2ヶ月で次の入居者が入るとされていることが背景にあります。2ヶ月÷24ヶ月=8.3%となるため、キリよく10%で想定しているのです。
しかし、空室リスクで失敗しないためには、20%など空室率を上げても利益が出る物件を選ぶことが必要です。
3-3.ローンを使いすぎない
不動産投資に失敗しないためには、ローンの利用額を抑制することも重要です。ローンの利用額が多すぎると、毎月の返済額と支払金利が大きくなります。万一空室が長期化すると返済の負担が重くなり、最悪の場合は自己破産などの事態に陥りかねません。
本業の収入から返済する事態も想定した上で、あらかじめ収支をシミュレーションしておくことが必要です。また、物件価格の10%程度は自己資金を用意しておくと、失敗を防ぐ上では有効に作用します。
また、近年では物件価格の全額を融資する金融機関も減ってきているので、自己資金の用意は必須と考えておくべきです。
4.まとめ:不動産投資は成功率が高いものの空室対策は必須
株式投資や投資信託など金融投資と比較すると、不動産投資は安定した利益を上げやすい投資です。しかし、不動産投資家に対するアンケートを見ると、失敗率を下げるためには、空室対策が重要とわかります。空室による収入減少に対しては、2つの対策が有効です。
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- あらかじめ高めの空室率を想定して物件を選ぶこと
- 空室が発生しても返済に行き詰まらない程度のローンを利用すること
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どちらも実際に投資する前に可能な対策です。不動産投資を始めるときには、ぜひ実践してみてください。